イタリアと日本の住宅の違いは
イタリアと日本の住宅事情は、もちろん風土、文化の違いはありますが、その感覚の差は大きなものがあります。日本人がイタリアの住宅を 設計する上で一番物足りなく感じるのは、空間に変化をつけることが易しくないということです。外壁・内壁・床共レンガ材の上、配管・配線等はすべて床面・壁面内にてコロシという状況では、例えば天井ふところを設けることもありませんので、狭い廊下でもかなりの天井高さになることがあります。
石膏ボードという日本人にとっては当たり前の材料にしても、イタリアではここ数年でようやく住宅にも使われ始めたという状況で、まだ造作的に遊ぶこともままなりません。
またなにより、イタリアで言う容積率、とは、延べ床面積ではなくまさに容積(立方メートル)を規定するもので、つまり、吹き抜けを作ってしまうと容積を食ってしまうことになるため、なかなか吹き抜け空間が実現しずらいところがあるのです。
逆に言うと、その単調な大きく広い空間にて存在感を発揮するのが、家具ということになるのでしょう。壁面収納という意識は薄く、がっちりとした家具をうまく選択・配置する感覚の高さは、目を見張るものがあります。
とめどなく溢れてくる「日本とイタリアとの違い」ではありますが、あらゆる空間にて様々な違いを発見していくことも、イタリアの生を見る楽しみにもなることでしょう。 |
イタリアの住宅は壁面を解体する事にかなり制約を受けます |
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